国際結婚はカルチャーショックの連続です。スムーズに受け入れられる部分もあれば、毎日の生活に大きく影響してしまうことは慣れないことだとストレスに感じることも少なくありません。
異なる文化や価値観を持つ相手と出会い、理解を深め合いながら築いていく結婚生活は、人生をより豊かにしてくれるものですが、現実には「文化の違い」が思わぬ衝突を生むこともあります。
今回は、実際によくある5つの文化的な衝突の例と、それぞれの背景を紹介します。
①家族との付き合い方の違い
家族の近さは日本でもそれぞれ。でも海外だと家族や親戚との距離が日本より近い傾向にあります。
家族がしょっちゅう家に来たり、誕生日パーティをやったり、親戚も近くに入れば両親だけでなく皆で集まって飲み食べ話すということも日常茶飯事ということも。最初はそれを楽しく思っていても、そのうち億劫に感じるようになったり、人によっては家族と言っても何人かが集まったグループの中で言葉がわからないストレスがある場合もあります。
子どもと日本語で話していると、それが他の家族にわからないことを嫌がる義両親がいるとか、電話を1週間かけないと怒る家族とか、そんな問題もちらほら聞きますが、そういう家族トラブルはそれぞれによりけり。
逆に言葉が100%通じないことで、日本の嫁姑のような苦労もなく、言葉のおかげで良い距離が保てていることもあります。
家族との繋がりの「当たり前」が違うことで夫婦の間に「なぜ?」が生まれてしまうことが衝突のきっかけになるのかもしれません。
②子育て・教育方針の違い
育児や教育方針は、親の価値観が色濃く反映される分野。
日本では「みんなと仲良く」「空気を読む」といった集団行動が尊ばれる傾向がありますが、欧米では「自分の意見を持ち、しっかり主張する」ことが重視されることが多いです。日本では「協調性」が重視されるのに対し、欧米では「自己主張」が大切にされるというこの違いが、子どもの教育方針や叱り方、褒め方などに現れやすく、衝突の火種になりがちです。
例えば、日本人の妻は「みんなと仲良く遊べる子がいい」と思って子どもが保育園で自己主張が強すぎないかを心配している一方で、アメリカ人の夫は「うちの子はリーダーシップがある!」と誇らしげだったり。お互いの基準が違いすぎると、家庭での子供への声かけにもズレが生じてしまい、些細な教育方針で何度も話し合う必要が出てくることもあります。
③お金に関する価値観の違い
お金の使い方の違いは、日本人同士でも夫婦のすれ違いの種になる問題ですが、文化の違いが及ぼす価値観も大きいものです。
例えば日本では「貯金が美徳」。いざという時のために貯金を、と考える傾向が強いですが、欧米では「今この瞬間を大切にする」という価値観が重視され、旅行やレジャーに積極的にお金を使う人も多いです。
逆に日本の「祝儀」も海外ではあまりに大きな金額に驚かれることも。例えば結婚式に招待された時、日本だと友人なら3万円ほどを包むのが一般的ですが、海外ではプレゼントを持っていくことも多く金額も決まっていません。そんなに仲良いわけではなくても結婚式に参加しなければいけない「雰囲気」があり、その結果お金も渡さなければいけないという日本特有の状況には理解が示されないこともあります。
日常生活でも収入や支出の優先順位が異なると、家計の管理方法でもすれ違いが生じやすくなりますね。
④感情表現や愛情の伝え方の違い
「好きって言ってくれない…」「ありがとうの一言もない…」そんな不満を抱えがちなのが、感情表現のスタイルの違いです。特に彼氏彼女の時はもっと多かった愛情表現が、結婚すると減ってきてしまうのも日本ではあるある。欧米では結婚後に愛情表現が減るというのは大問題です。欧米では愛情表現を日常的に言葉にすることが多いのに対し、日本では言葉よりも行動で示す文化が根付いていますよね。このギャップが、「冷たい」と感じさせてしまう原因にもなります。
話し合ってお互いの感情や愛情表現のスタイルを確認して理解を深めることが国際夫婦生活において大切なことなのかもしれません。
⑤タイムマネジメントと約束の感覚
日本では「5分前行動」が常識ですが、他の国では「遅れるのが普通」という文化もあります。
また、「今度ご飯でも行こうね」という社交辞令も、文化によっては本気で受け取られてしまうことも。この「約束の重み」に対する感覚の違いは、予定調整や人付き合いの中でトラブルを引き起こすことがあります。
日本でも沖縄と本州で時間の感覚は違うと言いますよね。南の暖かい場所ほどに、北と比べると時間感覚が違うというのは世界基準で言われること。「時間は守る」が当たり前の感覚と、「遅れるのも予想のうち」という感覚は、夫婦だけでなく夫婦の家族や友人も同じなので些細な事がストレスになることもあります。
どちらの国に住んでいるかによっても変わってくるので、住んでいる場所によっても慣れていくことが大切な部分ですね。
文化の違いによる衝突は避けられないことも多いですが、それを乗り越えることで、より深い理解と信頼が生まれます。
大切なのは、「違い=間違い」ではないと受け止めること。お互いの背景を尊重しながら歩み寄る姿勢が、国際結婚の鍵となるのではないでしょうか。
そこに、夫婦の成長のヒントが隠れているかもしれません。



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