海外での時間感覚

 私は今まで、シンガポール、アイルランド、スイスで海外生活を経験してきました。
その中で共通して感じる日本生活との違い、それは「時間の感覚」かもしれません。

 この3カ国の中で最も違いを感じたのはアイルランドです。時間が穏やかに流れ人々はのんびり大らかに生活している印象でした。
 子どもと外を歩いているだけですれ違う人がにこやかに声を掛けてくれたり、車を運転していると道を譲ってくれる(しかもわざわざバックして道を開けてくれる)ことが幾度となくありました。時間と心に余裕がなければできることではありません。
 一方、ゆったりしている分、アポが日時通りに完了しないことは日常茶飯事でした。例えば引越し後すぐにWi-Fi設置を申し込みましたが(壁が厚いので特別な作業が必要)、業者が約束の日に来ないことが数回続き、ようやく自宅にWi-Fiが開通したのは半年後。病院では2ヶ月待ちの末指定された日に行くと「予約は取れていない」とさらっと言われ、取り直した診察日は更に2ヶ月先でした。

物事を予定通りこなしていくことが当たり前の日本人にとっては驚きの連続ですが、毎度イライラしてもしょうがありません。郷に入れば郷に従え。主張すべきことはしっかり伝えつつも現地のスタイルを受け入れていく必要があると学びました。

 その後移り住んだスイスのジュネーブ。さすが時計を作る国、時間に対してきっちりしている印象を受けます。
 行政手続きをし「一週間後にレターが自宅に届く」と言われるとその通り受領できますし、修理のアポが朝8時(スイスは朝の始動が早い!)となればその10分前には作業員さん達が自宅前に待機する姿が見えこちらが焦るほど。スイス人が時間にパンクチュアルなのは日本人の感覚に近いと感じています。

 とはいえ、スイス人は穏やかな時間を楽しむことを忘れません。日の長い夏季には、金曜の夕方早めの時間からテラスに出てアペロを楽しむ姿をよく見かけます。仕事を早く切り上げ家族との時間を大切にしているのですね。日本では見ない光景に初めて見た時は「これこそが豊かな生き方だ」と感動を覚えました。
 日曜は一部の観光地を除いてスーパー、レストラン、その他殆どのお店がクローズ。従業員だって休日をゆっくり過ごす、それがスイスでは当たり前のこと。夏休みやクリスマスには何週間かまとめて休暇を取り長い間バカンスに出ることが可能なのもまた羨ましい風習です。

 日本はどんなこともにも一生懸命かつ丁寧で、思いやりとサービスの行き届いた素晴らしい国です。海外にいると「さすが日本!」「日本だったら…なのに」と思うことが沢山あります。
 一方こうして海外での価値観に触れると、日本人はいつも忙しく、ちょっと頑張りすぎかなと思うことも少なくありません。
 肩の力を抜いて、休みの日は家族と思いきりのんびりして、太陽の光や自然を楽しんで。そんな生き方をしていけたらいいなと、大切な人生観を教えてもらったように思います。

友美(スイス)

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