海外で暮らしていると、日本にいた頃には当たり前だった食材や調味料が、急に「特別なもの」に感じる瞬間があります。その代表格のひとつが、麹(こうじ)です。味噌、醤油、みりん、甘酒、塩麹……日本の食文化の土台を支えてきた存在でありながら、海外ではなかなか手に入りにくかったり、価格が高かったりします。
Kaleidome Friends Communityでは、麹に興味がある人が大変多かったために「麹・発酵サークル」が出来ました。そこで知識やアイデアをシェアして、みんなで海外の麹生活を楽しんでいます。
本記事では、海外生活の中で麹を取り入れる意味やメリット、現地での取り入れ方、そして無理なく続けるコツまでをまとめました。
そもそも「麹」とは何か
麹とは、蒸した米や麦、大豆などに麹菌を繁殖させたものです。この麹菌が生み出す酵素によって、でんぷんは糖に、たんぱく質はアミノ酸に分解され、食材の旨みや甘みが引き出されます。
日本の伝統的な発酵調味料の多くは麹をベースに作られており、私たち日本人の味覚は、知らず知らずのうちに麹の味に育てられてきたと言っても過言ではありません。
海外で和食を作ると「なんとなく味が決まらない」と感じることがありますが、その理由のひとつが、麹由来の旨みが不足していることです。
海外生活と麹の相性がいい理由
1. 食生活が乱れやすい環境だから
海外生活では、外食や加工食品が増えがちです。特に欧米では、脂質や糖分が多い食事が続くことも珍しくありません。そうした環境の中で、麹を使った発酵食品を取り入れると、食事のバランスを意識するきっかけになります。
2. 日本の味が「心の安定」につながる
慣れない言語、文化、価値観の中で生活することは、想像以上にストレスがかかります。そんなとき、麹を使った味噌汁や煮物、甘酒など、体に染みる味は、気持ちをほっと落ち着かせてくれます。
3. 現地食材と相性がいい
麹は和食専用のものと思われがちですが、実は肉や乳製品、洋野菜とも相性が良いのが特徴です。塩麹でチキンをマリネしたり、野菜を浅漬け風にしたりと、現地の食材を活かしながら使えます。Kaleidomeメンバーには、玉ねぎ麹(作り方はレシピで紹介しています)をスープに入れるという人や、海外の塊肉(特に豚肉)を塩麹で柔らかくすると現地料理もすごく美味しくなるという人もいました!
海外で麹をどうやって手に入れるか
日本食材店・アジアスーパー
都市部であれば、日本食材店やアジア系スーパーで乾燥麹や塩麹が手に入ることがあります。ただし価格は日本より高めで、品揃えも限られる場合があります。
オンラインショップ
国や地域によっては、オンラインで日本の発酵食品を購入できるケースもあります。賞味期限や送料を確認しつつ、無理のない頻度で利用するのがおすすめです。
自分で作るという選択肢
最近では、海外在住日本人の間で「麹を手作りする」人も増えています。専用の発酵器がなくても、オーブンの低温設定や保温ボックスなどで代用する方法が共有されています。種麹はなかなか海外では手に入りにくいようで、種麹だけは日本に帰った時に買って帰ってくるという人も多かったです。
海外生活で使いやすい麹調味料
塩麹
最も取り入れやすいのが塩麹です。肉や魚を漬けるだけで柔らかくなり、下味も一度で決まります。調味料が限られる海外キッチンでも活躍します。
醤油麹
醤油と麹を混ぜて発酵させるだけで、旨みの強い万能調味料になります。炒め物、ドレッシング、パスタソースにも応用できます。
甘酒(米麹タイプ)
砂糖を使わずに自然な甘みが得られる甘酒は、おやつ代わりや朝食にも便利です。牛乳や植物性ミルクと合わせるなど、海外向けアレンジもしやすいのが特徴です。
この他にも、中華麹なるものを作っているメンバーもいました!
インスタントポット・炊飯器を使った海外ならではの麹作り
Kaleidomeコミュニティの中では、インスタントポット(電気圧力鍋)や炊飯器を使って麹調味料を作る方法を使っている人が多く、このサークルを機に購入した人も数人いるほど。専用の発酵器がなくても、すでに持っている調理家電を活用できたり手軽にできる点が、海外生活と相性の良い理由です。
インスタントポットを使う場合
ヨーグルトモードや低温調理モードがあるインスタントポットは、麹作りに向いています。
- 保温温度をおおよそ50〜60℃前後に設定する
- フタは完全に密閉せず、軽くのせる
- 6〜8時間ほどで発酵が進む
常温発酵よりも短時間で仕上がり、室温の影響を受けにくいのがメリットです。特に冬場のヨーロッパや寒冷地では、安定した発酵がしやすい方法として選ばれています。
炊飯器を使う場合
炊飯器を使う方法も、海外在住者の定番です。
- 保温モードを使用する
- フタは開けたまま、または布巾をかけて温度が上がりすぎないようにする
- 内釜の底が熱くなりすぎないよう、時々混ぜる
機種によって保温温度に差があるため、様子を見ながら調整することが大切です。香りが甘くなり、麹が柔らかくなってきたら完成の目安です。
海外生活だからこそ「完璧」を目指さない
インスタントポットや炊飯器を使った方法は、日本の伝統的な製法とは異なります。それでも、海外の住環境や生活リズムに合わせて工夫すること自体が、海外生活の知恵とも言えます。
「少し甘い香りがする」「いつもの料理が美味しくなる」──それくらいの変化を楽しむ感覚で十分です。
海外生活の中で、すべてを現地化する必要はありません。日本の知恵を必要な分だけ持ち込み、今いる場所の暮らしと組み合わせる。そのひとつの選択肢として、麹のある生活があります。
忙しい日々の中で、ふと麹を使った一品を作る時間が、海外生活を少しだけやさしくしてくれるかもしれません。



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